Keio ChemBio Midori Lab. 慶應義塾大学理工学部生命情報学科 荒井研究室

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ケミカルバイオロジー

ケミカルバイオロジーとは化合物や化学手法を用いて、未解明な生命現象にアプローチする学問です。
私たちの研究室では、天然物ケミカルバイオロジーを基盤とした細胞運命制御に取り組みます。放線菌や真菌、植物などの天然資源から生物活性のある天然物を単離し、有機合成を用いながら再生医療や新規抗がん剤等の創薬リード創出に挑みます。
また化合物の作用機序解析を通して未解明な生命現象の解明に取り組みます。

天然物基盤ケミカルバイオロジー


現在の研究テーマ

❶ 休眠遺伝子活性化への挑戦

休眠遺伝子活性化と新規天然物 放線菌や真菌は生合成遺伝子の8割が眠っている休眠遺伝子です。それを様々な方法で活性化しこれまでに得られなかった新規天然物の単離を目指します。

具体的には「微生物と動物細胞の共培養法」などを用います。私たちは千葉大学真菌医学研究センターが保有する臨床から単離された病原放線菌や病原真菌に興味を持っており、これらの病原微生物が生体内に入り様々なストレス(免疫細胞からの攻撃など)を受けた時に、生き残るために休眠遺伝子を活性化して新規な天然物を出すと考えておりすでに特異的な天然物を単離しています。

これらの休眠遺伝子活性化機構を解明し、多くの微生物にも応用できるような普遍的な方法の開発に取り組みます。

 

❷ 神経幹細胞の分化活性化〜ニューロンを増やす

 神経幹細胞はニューロンなどの神経細胞に分化できる多分化能を持った細胞で、成人の脳内にも存在することが知られています。
アルツハイマー病の神経変成疾患や脳溢血後の麻痺の改善などにおいてこの神経幹細胞を使った細胞治療が望まれていますが、細胞治療を助ける薬はほとんどありません。

私たちの研究室では、神経幹細胞の分化を制御しているbasic helix-loop-helix (bHLH)転写因子群に先駆けて着目し、これらを天然物で制御し、神経幹細胞の分化活性化を達成しています。
効率的に活性な天然物を見いだすため「標的タンパク質指向型天然物単離法」(天然物の魚釣り!)を世界に先駆けて構築し、神経幹細胞の分化を抑制するHes1の阻害剤を見いだしてきました。

今後も再生医療に役立つ医薬リードを見いだすために神経幹細胞にアプローチします。

神経幹細胞の分化活性化

 

❸ 新規抗がん剤リードを目指して

 生命の維持に重要なシグナル伝達が異常をきたすとがん細胞が生まれます。私たちはそのような生死の天秤シグナルとも言えるWnt, Hedgehog, Notch, TRAILシグナルを制御する天然物を見出し、がん細胞の運命制御を試みています。オリジナルのアッセイ系を構築し、植物、放線菌からシグナルのモジュレーターを見いだしています。

またビオチンプローブを用いて「標的タンパク質の魚釣り」を通し、化合物の作用機序解明を行っています。

新規抗がん剤リードを目指して

 

❹ 有機合成による天然物様化合物の創成

 天然から単離される天然物は、多くのタンパク質を相互作用してしまう場合が多いです。私たちは選択性の高い、強い小分子創成を目指して、有機合成化学によるアプローチを行います。計算化学の力を借りながら、より良い天然物様化合物をデザインし、合成します。

これまでヘテロ環を有するフラボノイドや複雑な骨格のロカグラミドのライブラリー合成や、天然物melleumin、fuligocandine A, B、agalloside、lindbladioneの全合成と誘導体合成、その活性評価を行ってきました。
今後もより良い化合物を創成していきます。

有機合成による天然物様化合物の創成

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